葉祥明美術館

オススメ Vol.06「かみさまへのてがみ」

開催中の「かみさまへのてがみ」展は、子どもたちが神様に宛てた手紙に葉祥明が沿えた挿絵を展示しています。沢山の子どもたちの言葉はどれも素晴らしく、かわいらしく、いくつかを選んで展示することがとても難しい事でした。

それと同じく、作家の挿絵もまた、それぞれの子どもたちの思いに寄り添うようにやさしさが伝わってくる心温まる作品です。
もともとアメリカで出版されたこの作品は、手紙を書いた子どもたちの絵が掲載されていました。日本で出版される際に作家の絵が登場する事となったのですが、そのような経緯もあり、葉祥明は出来る限り原作の意図を組みながら、子どもたちの純粋さを失わないように試行錯誤を繰り返しました。そのひとつに画材があります。普段、葉祥明が描く水彩画とは違う、水性のフェルトペンを使用して描いています。水彩でもなく、鉛筆でもなく、水性のフェルトペンで描くことにより、そのタッチや質感、雰囲気がアメリカの子どもたちの描いた原作により近いと考えたのです。
そのような、子どもたちを包み込むように描かれた作品の中にも、葉祥明らしいリトルエンジェルなどが随所に登場しています。
葉祥明と子どもたちのコラボレーションを心ゆくまでご堪能頂ければと想います。
「My selection」、当時の子どもたちの想いを考えると一枚を選ぶことが出来ませんでした。最初に「かみさまへのてがみ」シリーズ出版されたのは1977年ですので、もう27年も前です。手紙を書いた子どもたちは今、どんな大人になっていることでしょう…

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2004年11月27日 (土) ~ 2005年1月21日 (金)
YOH SHOMEI「かみさまへのてがみ展」



葉祥明美術館
学芸員 長井