葉祥明美術館

オススメ Vol.47「いちご新聞」

葉祥明の作品が広く知られるようになったきっかけでもある月刊誌「詩とメルヘン」や「いちごえほん」。当時メルヘンブームが起こっていた1970年代に、葉の作品がこの雑誌に掲載されるようになり一大ブームとなりました。

(株)サンリオの「詩とメルヘン」の編集を担当していたのがやなせたかしさんなのは有名です。葉もやなせさんの「君、いい人そうだね・・・」のひと言で掲載が始まったというエピソードも。それ以来、葉とサンリオとのお付き合いは続きます。40冊以上の画集や絵本も出版し、沢山の作品を描きました。現在でも「いちご新聞」に毎月、葉の絵と詩が掲載されています。

「いちご新聞」との始まりは「いちごの王さまと詩の世界」という企画ページで、一般の方から著名な詩人の方などの詩に葉の詩が添えられるというものです。
葉祥明ファンにとっては、自分の詩に葉の作品が添えられるわけで…嬉しい企画でした。

2002年9月号から続いた「いちごの王さまと詩の世界」は2007年6月号で区切りを付け、2007年7月号かた新たに「幸せになるための『心のハーブ』」という連載になります。こちらでは絵と詩の両方を葉祥明が書き、葉祥明ワールドを展開することになります。毎回、いちご新聞のために書き下ろされた作品は、葉祥明らしくありながら…サンリオらしくもあるという独特な作風です。時にサンリオの「イチゴハウス」が登場し、なんと「キティちゃん」まで登場します。現在も連載は続き、その書き下ろし作品は100を越えます。そんな中から、わずかではありますが企画展「葉祥明の『いちご新聞』展」でご紹介出来ることを嬉しく思います。この機会でなければ、なかなか展示されることのない(!?)作品が多いです。

絵本作家として1972年にデビューしてから2012年で画業40周年を迎える葉祥明。これを記念して、「いちご新聞」に掲載された作品を紹介し、軌跡をたどると共に、ここでしか見る事のできない葉祥明とサンリオのコラボレーションをぜひご覧下さい。

最後に「いちご新聞500号」を記念して葉祥明が寄せた文をご紹介します。
                         

     
「いちご新聞」は小さな女の子から大人まで、様々な年代の人に愛されていますが、私はいつも、美しくて楽しい絵と元気が得られる短い詩、そして毎日を楽しく過ごせるような内容のエッセイを書くようにしています。

日々の生活は大切です。「人生」っていうとあまりに大きく深く、掴みどころがなくなりますが、「今日」という日をどんな気持ちで、どう過ごすか?毎日繰り返していることが、結局つもりつもって「人生」になるんだ!っということに、気付いてくれたら嬉しいです。

映画や小説では、主人公のなんでもない一日が、素敵に描かれています。
全ての人が、その人生の主人公!日々の出来事、全てがわくわく、ドキドキする素敵なドラマです。
もっと自分と自分の生活、そして身近な人たちを、温かく優しい愛をもって見守り、自分の人生を大切に生きて欲しいです。 
葉 祥明

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2011年11月26日(土) ~ 2012年1月20日(金)
葉祥明の「いちご新聞」展

葉祥明美術館
学芸員 長井