葉祥明美術館

学芸員のおすすめコラム【宇宙からの声】

 
 
絵本「宇宙からの声」は1997年に佼成出版社より、出版されました。1997年は「ひかりの世界」や「ジェイクのむぎわらぼうし」「森が海をつくる」(自由国民社刊)「心に響く声」「地平線の彼方」(愛育社刊)など代表作を含め20冊以上の本を発表するなど、広く活動をした年でもあります。
明るく、柔らかい作風の葉が”宇宙”を題材に絵本を描く…。実はたびたびあるのです。1989年には「ぼくのあおいほし」(偕成社刊)では美しい地球を願う気持ちを、絵本にしました。「宇宙からの声」以降も「あいのほし」(偕成社刊)等もあります。
 
なぜ”宇宙”を描くのか…。
 
広大な風景を描く画家として知られていますが、葉祥明は出来るだけ大きく・広い景色を描きたいという気持ちを持っています。そうなると「宇宙ほど大きいものはないから、地球風景を超えてしまった」と。それ以外にも宇宙は「天体画を超えた、深淵なものがあると感じている。”いのち”の始まり、全ての源(ソース)でもある」と語り、その創造の姿を宇宙作品の中で表現したいのだと言います。
 
「宇宙からの声」を描いたのは、全ての命の源である”宇宙”の中にある”地球”という惑星の危機が、現代文明により直面している、という人類へのメッセージの必要性を感じたからでした。当時の考えられる現代文明による危機とは、環境破壊や戦争、テロや犯罪の事が上げられます。現在のコロナ禍においては、感染症の脅威も含まれるでしょう。
 
絵本の中では、創造の源の「宇宙」が私たちに語りかける手法でお話がすすみます。
“宇宙”というスケールの大きさと、”自分”という一個の小さな人間との関わりで見る・考える。そして、”自分”という存在がこの日常生活を生きているということの素晴らしさ、ものすごさを知ること。
そのためにこの本は作られました。
“人間”とは”いのち”とは、という根源的テーマを考え私たちが、地球…に 宇宙…において何を感じ、何をしていけば良いのか…
 
北鎌倉葉祥明美術館の「宇宙からの声」展が、考える一歩となれば幸いです。
 
■北鎌倉 葉祥明美術館 企画展 2020年9月1日〜11月27日
企画展「いのちのメッセージ 絵本『宇宙からの声』原画展」