
企画展示で開催していたDVD展は、「おなかの赤ちゃんと一緒」というテーマで構成されています。その最終章では、生まれてくる子どもを思わせる、かわいらしい子どもたちの姿が数多く登場します。その中でも今回は、天使を描いた作品「天使の響き-リトルエンジェル-」を取り上げます。
本作は、葉祥明が描いた天使の作品の中でも、とりわけ多くの人の目に触れてきた一作といえるでしょう。複製画やポストカード、画集など、葉祥明作品を紹介するさまざまな場面で用いられてきました。画面には、2人の天使が向かい合うように描かれています。やわらかな色彩とシンプルな構図によって、作品全体に静かで清らかな雰囲気が漂っています。
右側の天使は、ラッパのような楽器を吹いています。葉祥明の描く天使には、楽器を奏でる姿がしばしば見られます。それは、作家が抱く「美しい音楽は天上界からやってくる」という意識と深く結びついています。音楽は目に見えないものでありながら、人の心に届き、空間を満たしていきます。本作に描かれた天使もまた、そうした目に見えない響きや祝福を、私たちの世界へ届ける存在として表されているのでしょう。
葉祥明は、天使を描く理由について、「優れた音楽、優れた芸術、すべてを称して『ミューズの世界』は天からの贈り物です。これを象徴しているのが天使だから。だから天使を描くのです」と語っています。ここでいう天使は、単なるかわいらしい存在ではなく、芸術や美、そして人の心を豊かにするものを象徴する存在として描かれています。
天使を描く際、作家はその純粋さや清らかさを大切にしているといいます。原画に向き合うと、複製では伝わりきらない筆致や色の重なり、余白の呼吸を感じ取ることができます。かわいらしい天使の姿を入口に、葉祥明が表そうとした「ミューズの世界」や、天上から届くような静かな響きに耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。
■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2005年3月19日 (土) ~ 5月20日 (金)
YOH SHOMEI DVD-Part.2「おなかの赤ちゃんと一緒」展