葉祥明美術館

オススメ Vol.10「ジェイクそらをとぶ」

企画展示「ジェイクそらをとぶ展」では、絵本『ジェイクそらをとぶ』の原画全12点を紹介しています。

本作は1993年に刊行された、葉祥明によるジェイクシリーズの一篇です。白い犬のジェイクは、これまでにも公園を歩き、森をめぐり、海辺や自然の中を旅しながら、読者に静かなメッセージを届けてきました。本作においてジェイクは、作家が長く抱いてきた空への夢と憧れを託された存在として、広大な空へと軽やかに飛び立ちます。

葉祥明の作品における空は、単なる背景にとどまりません。それは、自由、祈り、希望、そして想像力の広がりを象徴する空間として描かれています。画面に広がる澄んだ空と、その中を進むジェイクの姿は、見る者の心を日常から解き放ち、まだ見ぬ世界へと誘います。羽根を持たないジェイクが空を飛ぶという情景は、現実の制約を超えて、心の中にある願いや夢を自由に羽ばたかせることの大切さを、やわらかく語りかけているようです。

広い空への憧れは、誰の心にも少なからず宿っているものではないでしょうか。本展では、原画ならではの色彩の深みや筆致の繊細さ、余白に漂う静けさを通して、絵本の世界をより豊かに感じ取ることができます。ページをめくる読書体験とはまた異なる、原画と向き合う時間の中で、ジェイクとともに空を旅するような感覚を味わっていただければ幸いです。

夏の光に満ちたこの季節、楽しい想像をめぐらせることは、心をやわらかく解きほぐしてくれます。『ジェイクそらをとぶ』の世界を通して、空を見上げる喜びと、夢見ることの豊かさを改めて感じていただけましたら幸いです。

なお、本書は現在、製造されておりません。美術館および店頭に残る在庫が限られておりますので、ご希望の方はお早めにお求めください。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2005年7月30日 (土) ~ 9月23日 (金)
絵本「ジェイクそらをとぶ」展



葉祥明美術館
学芸員 長井