葉祥明美術館

オススメ Vol.11「Yellow Yellow -黄色の世界-」

葉祥明の色彩には、多くの方が暖かみを感じられることでしょう。
海の青にも、大地の緑にも、紺碧の空にも… 中でも、黄色はその色の持つ性質からもより暖かく感じられます。葉祥明が繰り広げる黄色の色彩は、イエロー、イエローオーカー、オレンジイエローetc.様々な黄色が使われ、それぞれの表情を見せてくれます。
展示会場では、「春夏秋冬」や「太陽の輝き」「Yellow House」など異なったテーマで展開され、全部で24点の作品が展示されています。その中で、葉祥明の描く黄色の世界の多くの要素を含んでいるのではないかと思う「花馬車と羊さん」という作品をピックアップしたいと思います。

この作品は1970年代に描かれました。お花畑に少女と少年、奥には黄色い丘に羊が集まり、太陽に照らされ薄く黄色に染まった空…。作品全体からあふれるように黄色が使われています。葉祥明は自然を描く事が多いですが、花畑を描く時そのほとんどが黄色いお花です。「何の花だろう?」と素朴な疑問を抱き訪ねたところ「菜の花やタンポポをイメージしてるんだよ」と教えてくださいました。菜の花もタンポポも私たちの身近な花ですね。彼の描く作品に何処か懐かしいような、穏やかな印象を受けるのはそういった身近なものを大切にする作家の姿勢があるからかもしれません。

作家にとって「黄色」とは何を連想するものかとも伺ったところ、[太陽][光][熱][命の輝き][天国][愛][優しさ]といくつも想いがとびだしました。「花馬車と羊さん」の作品の中にもお花畑の優しさだけではなく、輝く太陽の光や愛がみてとれます。

だんだんと涼しくなり、木々も黄色に色づいてくるでしょう。葉祥明の「黄色の世界」もお楽しみ下さい。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2005年9月24日 (土) ~ 11月25日 (金)
「Yellow Yellow -黄色の世界-」



葉祥明美術館
学芸員 長井