
今回の企画展「あなたに贈る言葉展」では、葉祥明の詩と水彩画によって構成された詩画集の世界をご紹介しています。
葉祥明は、絵本作家として広く親しまれてきましたが、その創作の根底には、言葉を通して人の心に静かに寄り添う詩人としてのまなざしがあります。本展では、2006年に千趣会より刊行されるために制作された全6冊の詩画集を中心に、やわらかな水彩の画面と、そこに添えられた言葉の響きをあわせてご覧いただきます。
葉祥明の水彩画は、淡く澄んだ色彩と広がりのある余白によって、見る者の心を穏やかに包み込みます。そこに添えられた詩は、決して声高に語りかけるものではありません。むしろ、日々の中でふと立ち止まったとき、心の奥に静かに届いてくるような言葉として、作品にいっそう深い余韻を与えています。
ここで、本展において紹介している言葉の一篇を取り上げます。
『大丈夫です 全てうまくいきます
何故ならあなたの人生はあなたのもの
あなたの人生は他の誰かのものではありません
あなたの望む通りになるでしょう 生きたいように生きればいいのです
同じく誰かの人生はその人のもの その人の生き方を誰も妨げてはいけません
このようにお互いの人生を尊重し合いなさい』
この言葉には、自らの人生を大切に生きること、そして同時に、他者の人生をも尊重することの大切さが、簡潔でありながら深い響きをもって示されています。自分らしく生きることは、決して自分だけを優先することではありません。他者の歩みを認め、その人がその人自身の人生を生きることを妨げないという姿勢があってこそ、互いの存在はより豊かに支え合うものとなります。
現代社会においては、他者の人生に不用意に踏み込み、時にその尊厳を損なうような出来事も少なくありません。そうした時代にあって、葉祥明の言葉は、静かな祈りのように、私たち一人ひとりに問いかけます。自分の人生を信じて歩むこと。そして、他者の人生にも同じだけの重みと尊さがあることを忘れないこと。
どうぞ作品の前でしばし足を止め、水彩のやさしい光とともに、言葉の一つひとつをゆっくりと味わってください。「お互いの人生を尊重し合う」という、簡単なようでいて深い願いが、皆さまの心に静かに届くことを願っています。
■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2005年11月26日 (土) ~ 2006年1月20日 (金)
「Message of Life -あなたに贈ることば展-」