葉祥明美術館

オススメ Vol.15「Great Mother Land」展

書籍「グレートマザー・ランド展」、今回の展示は珍しく、葉祥明の作品以外を含めた展示です。この書籍自体、言葉は葉祥明、写真は葉山祥禎のコラボレーションです。葉祥明ファンの中では、ご存じの方も多いと思いますが、葉山祥禎は葉祥明の実弟で、葉祥明阿蘇高原絵本美術館館長も務めている人物です。
葉祥明が常々「阿蘇は心の故郷」と称していますが、その故郷の写真にのせ阿蘇への思い、自然への思いを綴っています。写真と言葉、その思いは強く、実直に伝わってくるとともに、改めて自然の美しさ、深さを思い知らされます。
ぜひ、今回の展示をご覧頂いて堪能して頂ければと思うのですが…

さて「グレートマザー・ランド」は本文の言葉以外にも、初めと終わりにも葉祥明のメッセージが書かれています。その中に『中国では、古来、自然風景の美をこう格付けしていると言う。まずぜひ、行ってみたいという風景、次に、そこにぜひ住みたいと思う風景、そして、最後は、そこで死にたい!と思う程の、それこそ、たぐい希なる究極の美の風景があると。私は、まったく、その境地を、阿蘇に見た。』(あとがき「阿蘇への愛」より)という一節があります。今回の主テーマの阿蘇は大地に融合されるような「還る」と思えるのだといいます。では、他の『行ってみたい風景』と『住みたいと思う風景』は作家にとり、どこなのだろうかと・・・

こんな素朴な疑問に快く答えてくださいました。『行ってみたい風景』、それは次々と出てきました。一番最初に口からこぼれたのが「北欧」スウェーデンやデンマークといった風景を写真などで見ると心が惹かれるそうです。なんとなく私の主観ですが「北欧」と聞くと、葉祥明のイメージに合い、なるほどと思ったのですが、その後に「ピラミッドやスフィンクス」も…。さすが芸術家です、行ったことのない世界自然遺産、等々…興味は尽きるところがないようです。

『住みたいと思う風景』はヨーロッパ。自然、芸術、文化が完成された姿、調和の中に身を置いてみたいと思うのだそうです。また、若い頃にニューヨークに住んだ経験があるだけに、やはり住んだことの無い場所に思いがあるようですね。それでも、『永住』となると違うのだそう…。「やはり慣れ親しんだ所が一番でしょう」
との事。そう、慣れ親しんだ「ここ」(日本)だそうです。

皆さんにとって『行ってみたい風景』『住んでみたい風景』『そこで死にたい!と思う風景』はどこですか?

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2006年5月20日 (土) ~ 7月28日 (金)
「Great Mother Land」展



葉祥明美術館
学芸員 長井