葉祥明美術館

オススメ Vol.17「Prince Edward Island-世界で いちばん美しい島

今回、企画展では画集「プリンス・エドワード島」の原画を展示しています。
この画集は1999年に葉祥明がカナダのプリンス・エドワード島を訪れ、その美しい風景を描いたものです。この島を訪れたきっかけはモントリオールで行われた展示会を機会に、すこし足をのばしてみようか…といった感じだったようですが、その景色に『心を奪われた』…ようです。その時の感激は画集「プリンス・エドワード島」に葉祥明の「旅ノート」にて詳しく紹介されていますので、ぜひご一読頂ければと思います。

今回は葉祥明に「僕の絵の原風景は、この島だ!」とまで言わせた、プリンス・エドワード島を少し、ご紹介したいと思います。
とは言え、既に良く知られた島でもありますので、ご存じの方も多いでしょうが、まだご存じない方に興味をお持ち頂くきっかけにでもなれば幸いです。
プリンス・エドワード島はカナダの東端、セント・ローレンス湾に浮かぶ小さな島です。その大きさは面積5670㎡、およそ愛媛県と同じくらいになります。そのちいさな島に人口約13万人、愛媛県の10分の1程の人口しかいないのですから、コンパクトながらも広々とした景色を望めるのは想像できます。
この島は、昔から保養地としても有名であったり、歴史的な話し合いの場として活躍し、「カナダ誕生の地」とも言われています。現在でも夏にはカナダ本土や世界中から避暑地として多くの人が訪れていますが、なんと言っても、この島をより有名にしたのは「赤毛のアン」の作者モンゴメリではないでしょうか。
モンゴメは1874年にプリンス・エドワード島に生を受けます。その後、人生の半分をこのプリンス・エドワード島で過ごし、「赤毛のアン」の舞台もまた、このプリンス・エドワード島です。今でも、当時の景色が大切にされ、舞台になった家や風景を観ることができるようです。モンゴメリは自叙伝で、『プリンスエドワード島は、アメリカ大陸で一番素晴らしい場所です。私はそう信じています。ここよりもっと素晴らしい景色は他にあるかもしれません。でも、心を休めるという意味では、こんなに美しい所はないでしょう。』(モンゴメリ自叙伝「険しい道」より)と言っています。

ふと、この言葉を読んだときに葉祥明の絵を観て感じる思いと通じるものがあると思いました。「素晴らしい絵」は他にもあるかもしれません。でも「心を休める絵」という意味では葉祥明の描く世界はなんとも癒される感じがします。癒しの空間を描く画家・葉祥明、描き続けてきたその世界が、知らずにモンゴメリの敬愛するプリンス・エドワード島に通じていたのは不思議ですね。
「より多くの人にプリンス・エドワード島の魅力を知って欲しい、少女時代の夢とロマンをいくつになっても心に抱いていて欲しい」という思いから描かれた、画集「プリンス・エドワード島」。モンゴメリの知る100年前のプリンス・エドワード島の時を経て、葉祥明の作品を通して旅してみてはいかがでしょうか。
最後に葉祥明からのメッセージです。
『プリンス・エドワード島は全島、‘葉祥明の世界’です!
ぜひ、ぜひ、一度行ってみてください。
プリンス・エドワード島には みなさんの夢があります。』
                       葉 祥明

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2006年9月23日 (土) ~ 2006年11月24日 (金)
「Prince Edward Island-世界で いちばん美しい島」展



葉祥明美術館
学芸員 長井