葉祥明美術館

オススメ Vol.18「天水から 有明海の眺め」

今回、企画展では熊本県玉名市の天水町を舞台に描いた作品を展示しています。
熊本県玉名市の天水町・・・
ここは100年前、夏目漱石が生みだした小説「草枕」の舞台となった場所。
「草枕の町」以外にも「みかんの里」としても知られ、古くから農業とともに発展してきた町でもあります。
夏目漱石の「草枕」は1906年に「新小説」に発表された作品です。
今年は2006年、ちょうど100年の時を経た事になります。100年前に漱石がその美しい土地(天水町の小天温泉)を舞台に物語った情景を、1995年に葉祥明が描きました。美しい風景を愛する葉祥明が、天水のみかん畑から望む有明海や普賢岳などを表現しています。

二人の作家が一方は文学的に、もう一方は絵画的に表現する事で、それを読み、それを観た人は、美しい風景を知り、また再認識するのではないでしょうか。
日本にも素晴らしい場所があると・・・
文学も絵画も素晴らしいものを教えてくれます。
葉祥明が日本の美しい風景を描くことで、多くの人にその良さを広められたら…。という その思いがあふれ出す美しい作品を感じ、自分自身の故郷の美しいものやかけがえのないものを再発見してみてはいかがでしょうか…。
この熊本の天水町以外にも、葉祥明は絵本「ホタルのくる町」で滋賀県新旭町を描いています。この作品には豊かな緑と水、花とホタルの美しい町が描かれていますが、「あとがき」で葉祥明は新旭町を「日本が保有していた対人地雷の廃棄処分を行っている平和の町」と紹介しています(2002年筆)。
私たちの住む日本。故郷の美しいものやかけがえのないものを再発見して下さい。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2006年11月25日 (土) ~ 2007年1月26日 (金)
「天水から 有明海の眺め」展



葉祥明美術館
学芸員 長井