葉祥明美術館

オススメ Vol.21 葉祥明写真展「Life -人生・生命-」

現在、開催中の企画展示「葉祥明・写真」展は、葉祥明の撮影した写真と書きためてきた詩をご紹介しています。この本は、以前より作家本人が「自分の写真は、描いた絵と同じように世界観がある」と話していました。それでもやはり、一般的に葉祥明と言えばメルヘン画というイメージがあり、本格的な写真集を発表する事がなかなか出来ませんでしたが… それが!この度、出版の運びとなりました。

葉が(喜んで!)撮りためていた写真から厳選し、そこからさらに出版社の方が厳選し、その中から美術館で展示する作品を厳選し・・・と、選び抜かれた作品を展示しています。今回、出版される写真集の言葉は「生命」「人生」といった人々の生きている姿がテーマとなっています。その言葉に添えられる写真は、葉祥明が描く水彩画の風景とはひと味違う、人物画主体の作品が選ばれました。言葉に添えられる写真として「空」や「雲」などを選びがちですがが、あえて人物にした…。それは、様々な人間のあり方、全ての人間の歓び…悲しみ…憂い…厳しさなどの生き方を一冊におさめたいと言う思いからです。
「この中にあなたがいる」写真の人物と自分をリンクさせ、くつろぎ休んでいる人々と共に癒しを感じてほしいとの願いが込められています。現実の言葉に添えられた写真、それが救いとなるのではないでしょうか。

たくさんの写真の多くが公園のひとときであるのも、公園が都会にある救いの場であるからでしょう。よく公園を「都会のオアシス」と言うことがありますが、葉祥明は「現実世界の天国」だと思っているといいます。
作品に登場する公園はニューヨークのセントラルパークやイギリスのケンジントンパークです。ニューヨークのセントラルパークは葉祥明のジェイクシリーズの絵本の舞台にもよく登場しますね。写真の人物と共に、公園を散歩してみてはいかがでしょう。

子どもの頃の葉祥明の夢に「公園の管理人」もあったそうですよ・・・。
微笑ましいですね。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2007年5月26日 (土) ~ 7月27日 (金)
葉祥明写真展「Life -人生・生命-」



葉祥明美術館
学芸員 長井