葉祥明美術館

オススメ Vol.22「ジェイクと海のなかまたち」

現在、企画展では絵本「ジェイクと海のなかまたち」原画展を行っています。この作品は犬のジェイクが海の中で様々な生きものと出会い、海の美しさや大切さを再確認しながら、生き物たちの訴えに耳をかたむけています。

イルカやクジラ、たくさんのお魚やアシカにラッコ。他にもジュゴンやウミガメにも出会っています。このジェイクの沢山の出会いの中で、ジェイクを海の植物園にも案内してくれた「ウミガメ」に注目してみたいと思います。

ウミガメは熱帯・亜熱帯を中心に世界の海に生息しています(南極はのぞく)。地球上の「亀」約270種類の内、ウミガメはなんと7種類?、10種類に満たないのだそうです。少ないですね。生涯のほとんどを海の中で過ごすので、その生活については分かってないこともたくさんあるそうです。

「鶴は千年、亀は万年」と言いますね。「万年」とはいきませんが、産卵をする大人の亀になるまでに20年から30年は必要だといわれています。産卵は5月から9月。産卵の時には砂浜に来て穴を掘り、100個ほどの卵を産みます。そのご2ヶ月ほどで孵化し、わずか4cmほどの子亀が海にむかって外敵の少ない夜に、いっせいに大海へと旅立ちます。
(そうそう、子亀の性別は孵化までの温度で左右されるんですって!お母さん亀は産む場所や時期を、慎重に選んでいるんですね)やっと誕生した沢山の赤ちゃん亀ですが、大人になれるのはごくわずか。大きな海の中で波に浮かんで旅する赤ちゃん亀は、魚や鳥に食べられてしまうんです。せっかくに大きくなれたウミガメも・・絵本「ジェイクと海のなかまたち」に出てくるお話しで、ジェイクに話しています・・・

日本は北太平洋では唯一の産卵場所です。そのウミガメの故郷を私たち人間は大切にしなくてはなりません。ウミガメは夜十分に暗く、きれいな砂浜でないと産卵できません。砂浜をきれいに、海をきれいにしていかないといけないですね。

カメが海にでて、ウミガメとなったのはおよそ1億3500万年前。長い時を生きてきた生物を人は敬い、大切にしていきたいですね。葉祥明の著作にも命の大切さ、環境保護を訴えたものが多くあります。「海にゴミを捨てない」この身近な行為から、始めるのも良いのではないでしょうか。

海の大切さを、絵本「ジェイクと海のなかまたち」の原画をみて、一緒に考えていけたら幸いです。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2007年7月28日 (土) ~ 9月28日 (金)
「ジェイクと海のなかまたち」



葉祥明美術館
学芸員 長井