メルヘン画や、地平線(水平線)の画家として知られる葉祥明も1980年代(多くは1983・4年あたり)にたくさんのデッサンを描きました。そのモチーフは人物から、建築物、動物から昆虫まで多岐に渡っています。
そしてその中にも、馬や鳥など現在のシンプルな作品に通じるモチーフが数多く描かれています。中でも「鳥」は多種で、ミミズクから小鳥まで描いています。今回はこの「鳥」についてです。多種わたるデッサンの鳥たち。小鳥やミミズク、カラスや鵜など描かれていますが、この鳥たち…「身近にいた」というよりも様々な資料を調べて描いています。葉祥明氏の作品には様々な動物が登場する絵本があります。クジラやイルカ、象やペンギン。
これらの動物たちを描くときも、葉祥明氏は沢山の本を読み、資料を集めて調べます。何気なく描かれたように見える動物もそうした背景があって生まれているのですね。
「鳥」を描くときは瞳・クチバシ・足・頭部と身体との関係など様々な部分に気を付けて描くそうです。
「鳥の中でも特にカモメや白鳥が好きで、白い色、優雅さや形の良さに惹かれる」と。カモメや白鳥は「カモメのジョナサン」や「白鳥の湖」「みにくいあひるのこ」など文学にもよく登場しますね。その魅力に多くの作家が魅了されたのでしょう…。
葉祥明氏は以前「日本野鳥の会」発行の冊子に、作品が掲載されました。そのご縁もあり、北鎌倉の葉祥明美術館では「トリーノ」という冊子を置いています。「鳥」の世界に興味のある方はぜひお手にとってみてはいかがでしょうか。
デッサンはひとつひとつ線を描き重ねていきます。作家の思いもまた積み重なっていきます。葉祥明の思いを込めたデッサンをご覧ください。
■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2008年1月26日 (土) ~ 3月21日 (金)
「葉祥明デッサン展」