葉祥明美術館

オススメ Vol.31「星の王子さま」

1943年に出版された「星の王子さま」。サン・テクジュペリの語るお話しは沢山の事を私達に教えてくれます。
葉祥明も「星の王子さま」を愛読し、深く感銘を受けました。もともと読書が大好きな氏は「星の王子さま」やサン・テクジュペリに関する本を多数、所蔵しています。
現在、北鎌倉葉祥明美術館では企画展示室以外に、2階クロウドの部屋にて星の王子さまのコレクションも展示しています。人形作家ジョン・ライト氏の作る星の王子さまの人形とも合わせてお楽しみください。

さて、今回の企画展示の中で初期に描いたお話しも展示しています。
当時サンリオ出版の雑誌「いちご絵本」や「詩とメルヘン」という雑誌に葉の絵が掲載されていました。一枚の挿絵であったり、書き下ろしの短編童話だったりとその内容はクオリティーの高いものでした。その中で葉祥明の描いた「星の王子さまがもどってきた」というお話しは初期の葉祥明が描いた貴重なものです(1978年5月号「いちご絵本」掲載)。
内容はサン・テクジュペリの「星の王子さま」を受けて、お話しの主人公(葉です)も星の王子さまに出会うお話しです。短い童話ですが、そのお話しに吸い込まれ、ほのぼのとします。最初から最後まで、暖かい気持ちにさせてくれるお話しです。

また、この作品にはもう一つのエピソードがあります。
お話しの冒頭、星の王子さまに想いを馳せる主人公がいるアトリエ。ここのモデルは当時、葉祥明が住んでいた目黒のアパートだそうです。描かれた部屋にあるイーゼルや椅子。こんな風に作品を描いていたんですね。イーゼルに立てかけられたキャンバスに、この後なにが描かれたのか…考えるのも楽しいですね。

展示されている作品は、当時描かれた作品と一緒に近年、描いた星の王子さまの作品が展示されています。2008年に出版された葉祥明挿絵の「星の王子さま」以外にもという構想から描かれた作品です。現時点では書物になっていませんが、いずれは本にという想いです。しばしお待ち下さいませ…

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2009年3月21日 (土) ~ 5月22日 (金)
葉祥明が描く「星の王子さま」展



葉祥明美術館
学芸員 長井