葉祥明美術館

オススメ Vol.34「Call My Name」

2009年9月に発表された新刊「Call My Name」は今年5冊目の新刊になります。

(「しろくまのピナーク」佼成出版社、「ジェイクとふうせん」自由国民社、朝日小学生新聞に掲載 されている「はちぞう」の大型絵本の連載も含め、今年もたくさんの作品を描いています。 そんな中での「Call My Name」は、葉本来の作風が発揮されている柔らかい印象の作品に仕上がっています。

そもそもこの作品は浄土宗の方からご依頼頂き、制作が始まりました。2011年に法然上人がなくなって800年とうい節目を迎えるにあたり、葉に「阿弥陀経」を表現してほしいとの事でした。お話をお受けした葉は関係者の方々とお話するだけでなく、増上寺に足を運ぶなどインスピレーションを大きくふくらませました。
     『あなたは目を見張るような
     美しい世界があるのを知っていますか?』
          (中略)
     『さあ、これからあなたを心洗われる清らかな世界へ
      ご案内しましょう』
このような語りで始まるお話は、一言一言、作品の一枚一枚が「希望」「美しさ」「いのち」人生における大切なことを伝えてくれます。「阿弥陀経」の極楽の仏である阿弥陀仏が「我が名(ナムアミダブツ=念仏は楽浄土へ救い導く」とすべての人 に呼びかけているという内容がモチーフですが、『極楽』ー『美しい世界』ー『この世』…お話の終盤にこんな一節があります。
     『そして、その美しい国の輝きは
      いつでも、この世に向けられています
      だからこそ
      この世もまた美しいのです
      そしてあなたも!』
この作品が今、生きる人生を安心して「美しい世界」と感じとれる、そんな道しるべに なるのではないでしょうか。
タイトルの「Call My Name」は「我が名を呼ぶ」ナムアミダブツの意味合いです。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2009年9月26日 (土) ~ 11月27日 (金)
新作絵本原画展
「Call my Name」展



葉祥明美術館
学芸員 長井