葉祥明美術館

オススメ Vol.39「はちぞうのぼうけん」

「ぼくははちぞう」の絵本で初めて登場した “ はちぞう ”。ジェイクに続く、葉祥明の 代表するキャラクターとなりました。はちぞうを考えるとき、ファンタジー性をより追求したと葉氏は語っています。ジェイク も「耳は紺色で、現実にはいない犬だよ」とイメージされていますが、はちぞうは 大きな動物のゾウと、小さな鳥のハチドリが合わさって誕生したまさに不思議な存在です。 そして、そのファンタジー性をより表現するためにハチゾウを描くとき、気をつけている ポイントがあるそうです。
・・・それは表情、特に目です。
ジェイクや葉氏の作品に 出てくる人や動物の顔はシンプルに簡略化されて描かれていることが多いのですが、 はちぞうは白目に青い瞳が描かれ、その表情は豊かに喜怒哀楽を伝えます。
そんなはちぞうが伝えるメッセージは、やはり葉氏らしいものです。
「自分が何者で なんのために生まれてきたのか・・・」その問いかけを ” はちぞう ” が答えをみつけ ようと考えます。
第一作の「ぼくははちぞう」第 2 作の「ほしにいのりを」(共に愛育社) の中では、はちぞうの問いに明確な答えが描かれませんでした。
1996 年に出版された 2 冊から 13 年たった 2009 年、朝日小学生新聞でレッドリストに載っている動物を 紹介する役としてはちぞうが登場しました。
それと同時にはちぞうの疑問を解明するための旅としても描かれ、2009 年の連載の最後にははちぞうが「はちぞう」として生まれた秘密が明かされますした。そのお話が絵本「はちぞうのぼうけん」(朝日学生新聞社)として出版されました。今回は、その新作絵本を記念して掲載作品を、一部展示しています。
はちぞうの豊かな表情と解明された謎を是非、ご覧下さい。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2010年7月24(土) ~ 9月24日(金)
絵本「はちぞうのぼうけん」展

葉祥明美術館
学芸員 長井