葉祥明美術館

オススメ Vol.41「~Thank you for my family~大切な家族へ」

優しく暖かみのある作品と、綴る言葉を通して「平和」や「愛」といったテーマを見つめ続けている葉祥明。中でも「家族の愛」「母親の愛」は多くの作品を通してメッセージを伝えています。
「おなかの赤ちゃんとお話しようよ」「生まれた赤ちゃんとお話ししようよ」(全5部作、サンマーク出版)は2000年に出版されてから増刷を繰り返し、長く親しまれています。葉祥明らしい水彩画とその親子愛のメッセージは葉の代表作と言えるでしょう。
2005年、2006年には「ママきこえるよ」「母親というものは」(学習研究社)と続けて発表され、配された絵は、従来のメルヘン画とは異なる淡い水彩画のタッチで描かれたカット絵で、近年の葉の作品によく見られる手法です。画家として進化する葉の作風は、やはり深みを増していく言葉と相まみえ、より多くの「愛」へのメッセージを伝えています。
書籍「母親というものは」の冒頭に掲載されている「母親というものは」という詩は、両親の金婚式の際に葉祥明が母親のことを思い、生まれたものです。普段は、母親の存在は当たり前で、時には、疎ましく思ったりすることもあるかもしれません。でも、この詩を読んだときに初めて、母親が自分を思う「愛」の深さを知ることになります。 
この詩は、多くの人々の心を打ちました。
リリー・フランキーさんのミリオンセラー「東京タワー ~オカンとボクと、時々オトン~」(扶桑社)でも、リリーさんのお母様が大事にメモ用紙に、この詩を記していらっしゃったというエピソードからもその様子が伺えます。
今回の企画展示「Thank you for my family~大切な家族へ~」(学研ステイフル)へも同じくこの詩に感銘を受けたという事がきっかけで、作られたものです。
自立へと旅立つ子供が、両親に伝える気持ちとして書かれた言葉ですが、その内容はシンプルな中に奥深さを持ち、心を打つものとなりました。
温かい気持ちを表すような水彩画の作品と共に改めて「家族」の大切さを教えてくれます。
親子、夫婦、兄弟・姉妹…全ての家族に心から「ありがとう」を伝えます。
「Message Book展 Thank you for my family~大切な家族へ~」ぜひご覧下さい。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2010年11月27(土) ~ 2011年1月21日(金)
Message Book展
「~Thank you for my family~大切な家族へ」

葉祥明美術館
学芸員 長井