葉祥明美術館

オススメ Vol.43「思い出のタオル」

1972年に絵本作家としてデビューし、その絵本は多くの方に親しまれてきました。
時代は1970年代から1980年代へ。
葉自身は20代後半から30代へという年で メルヘンブームが起きました。
「メルヘン」という言葉自体が、世の中にあふれた時代です。
そんな中 やさしい作風の葉の絵は「メルヘン」にぴったりと合い、イラストレーターとしても メルヘン画を描くようになり いつしか「葉祥明といえばメルヘン」と言われるようになります。

葉の作品は画面に広がる空間が特徴です。
パステル調の色合いは押しつけることなく、見る者を 優しく包み込む印象を与えます。
そのため、どこに飾ってもその場所を和ませてくれるのです。
メルヘンブームでは”絵”としてだけでなく、様々な日用品に葉の作品が使われました。
食器やスリッパ、エプロン・カバン・レターセット…etc. 上げるときりがありません。
そんな中でも、多く愛用されたのがタオルです。
葉の絵を配したタオルは、作風とタオルの風合い がぴったりと合い、きれいな仕上がりとなりました。
当時、タオル制作会社の方の「絵本の ようなタオルを!」という依頼から始まったタオルはたくさんの種類を出す人気作となります。 
元々、描かれていた作品をタオルに使用したものから、タオルにするためにおこした作品も あります。
その際はタオルの形状やトリミングなどに配慮したとか…
葉祥明は当時を振り返り… 
『まだ若くて 世間知らずの自分。
日本全体もぐんぐん伸びていってた時代で若さと勢い… それらが今は懐かしい!』といいます。  
今年で65歳になる作家・葉祥明。
今年2011年は北鎌倉に美術館を建てて20周年。 来年2012年は画業40周年を迎えます。
今尚、たくさんの作品を世に発表し続けている 氏ですが、その作風は少しづつ変化しながらも「やさしく包み込んでくれる」印象は変わりません。 
これからもますます楽しみですね。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2011年3月19(土) ~ 5月20日(金)
Yoh ShomeiE「思い出のタオル」展

葉祥明美術館
学芸員 長井