葉祥明美術館

オススメ Vol.50「ヒーリング・キャット」

2004年に出版され、数ある葉祥明出版作品の中でも人気を博しているこの作品は“猫”を主人公にしています。
いままで部分的に猫は登場しますが主人公になるのは珍しいですね。
実生活でも捨て猫や野良猫を、これまで9匹の世話をされ…現在でも3匹の猫と一緒に暮らしている葉祥明氏。氏にとって猫や犬は、地球上の人間以外の生き物の、人間界への「大使」という存在です。
今回の展示絵本『ヒーリング・キャット』は大使である猫(ここではブルーキャットです)が、「大丈夫、うまくいく」と「ひとりじゃないよ…」と私たち人間に寄り添ってくれるお話です。青が好きで青い猫を描いたのですが、その深い青・爽やかな青が文中の言葉をより優しく心に導いてくれます。「ブルーキャット」という響きも良いですね。氏も気に入っているようです。

あとがきに「ブルーキャットは、現実のネコだと思ってくれてもいいし、心のなかのもうひとりの自分、あるいは自分を守るスピリチュアルな存在だと思って下さってもけっこうです。どうぞブルーキャットのささやきに耳をかたむけてください」とあります。誰の心の中にも、この人生で導いてくれたり、励ましてくれたりする存在がいるということを、皆さんに気がついて欲しいという願いが込められた作品です。

ブルーキャット、またの名を「ヒーリング・キャット」。ささやきを聴き、癒されてみてはいかがでしょうか…。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2012年5月19日(土) ~ 7月20日(金)
絵本「ヒーリング・キャット」原画展

葉祥明美術館
学芸員 長井