葉祥明美術館

オススメ Vol.54「雲のゆくおるがん」

2011年2月に出版された「人生の贈り物」(かまくら春秋社刊)。
この本の制作において、初めて今道友信先生と葉祥明は出会いました。「哲学の根本を知るための物語」を自身の経験をもとに書き下ろされた物語に、葉が5つの作品を描きおろしたものです。葉は今までにも他の方の文章に絵を描く、という仕事をいくつも行っていました。いつも内容を読んで、受けとめたものを絵筆に込め描いていますが、この時は…なにやらいつもと違う葉だったと記憶しています。今道先生に実際にお会いし、対談なども行ったのですが…打ち合わせで葉と会う度に、今道先生のお話を目をキラキラさせて嬉しそう話して下さいます。よほどお好きなんだな、と印象的でした。
その1年後、2012年5月に「雲のゆくおるがん」(かまくら春秋社刊)が出版されます。今道先生の詩に十数点、葉の作品が挿絵として使用されたこの本は、まさに「ふたりの魂が奏でるハーモニー」(「雲のゆくおるがん」帯より)。葉自身も詩を書きますが、その葉が今道先生を「本物だ!本物の詩人だ!」と称したほどのその優しい詩と、葉の穏やかさ水彩画が見事に相まって読む私たちの心に、すーっと溶けていきます。

本の掲載の「パリの優しいレストラン」終わりに、葉の挿絵があります。
ご覧下さい。カフェを描いた絵…そのカフェの名前『CAF? NOBU』と描いてあります。葉の遊び心を、今道先生もクスリと微笑んでくれたそうです。
お二人の関係や人柄が垣間見える、微笑ましいエピソードですね。

葉の「もっと多くの人に、今道先生の詩を読んでももらいたい」という気持ちを込め、今道先生を偲んで「雲のゆくおるがん展」を開催いたします。是非ご覧下さい。

最後に、展覧会開催にあたりご理解とご協力を賜りました、今道先生の奥様・クリスティネ様、三村利恵様、かまくら春秋社の山本太平様にこの場を借りて御礼申し上げます。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2013年1月26日(土) ~ 3月15日(金)
今道友信先生を偲んで
「雲のゆくおるがん」展

葉祥明美術館
学芸員 長井