葉祥明美術館

オススメ Vol.63「はちぞうのちいさなねがいごと」

「はちぞう」は葉祥明が生み出したキャラクターの中でも、ファンタジックな存在です。私たちの世界にはいない架空の生き物ですが、とても親しみのあるキャラクターです。姿形は一見すると陸上生物最大のアフリカゾウですが、その大きさは世界最小の鳥ハチドリのタマゴから生まれる程の小ささです。

そう…『はちぞう』という名前は、「ハチドリ」と「ゾウ」をミックスして生まれました。

はちぞうの羽は虹色で羽ばたくたびにキラキラと輝きます。ハチドリのお母さんと異なる姿の自分に疑問を持ちながらも「ぼくは、はちぞう!僕は僕さ」と自分を受け入れ、毎日を楽しく生きていきます。ご存じの通り「ぼくは はちぞう」という絵本でデビューし、「ほしにいのりを」「はちぞうのぼうけん」と活躍の場を広げてきました。その中で私たちにメッセージを伝えてくれます。

「はちぞうのぼうけん」では、不思議な姿で生まれた「はちぞう」の出生の秘密が描かれます。そこには作者・葉祥明らしい動物愛護のメッセージが込められています。人間に乱獲されるアフリカゾウの魂が、ハチドリの卵に宿り「はちぞう」が生まれました。可愛らしいファンタジックな姿の中に、懸命に生きている動物たちを救いたいという想いが込められています。

動物、人間も含め 全ての生物に対する作家の愛情が「はちぞう」として生きています。

その「はちぞう」が人間の子どもたちに、私たちが使う日常の言葉を易しく解説をし、その本質を伝えてくれました。葉祥明独自の解釈が込められた言葉の数々を、優しくはちぞうが教えてくれます。

2010年に朝日小学生新聞に連載された「はちぞうのちいさなねがいごと」は2011年にも葉祥明美術館で展示されました。今回出展作品は、前回ご紹介出来なかった作品を中心に展示しています。

また、所沢市民文化センター ミューズ ザ・スクエアにて開催の「葉祥明の世界展」でもはちぞうが活躍!合わせてご覧下さい。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2014年7月19日(土) ~ 9月19日(金)
「はちぞうのちいさなねがいごと」

葉祥明美術館
学芸員 長井