葉祥明美術館

オススメVol.16「くんくんきみだあれ」

今回、企画展では絵本「くんくんきみだあれ」の原画を展示しています。この絵本は1991年に日本で出版されましたが、同時にフィンランド版、フランス版でも出版されており、少し遅れて1992年にはドイツ版も出版されました。世界で読まれている絵本なのです。
初めて1972年書いた絵本「ぼくのべんちにしろいとり」、1989年の「ぼくのゆきんこ」に続き、ジェイクを主人公とした絵本の3作目です。絵本を開くと、アシカの「うみんこ」とジェイクが思いがけずに出会い、友達になるほのぼのとした作品です。色も爽やかなブルーと暖かみのある黄色が配され、夏にぴったりの作品だなと思い、暑くなってくるこの時期に展示をする事になりました。絵本としては皆さんによく知られている作品ですが、原画自体は…あまり、世にでた事は無いのでは…。この機会に、ご覧下さい。
今回の展示で必見なのは、なんといっても絵本に使われなかった作品です。構想の途中で変わっていったり、出版の関係で描き直したために使われなかった作品群です。今回は絵本に登場しないジェイクとうみんこの作品を5作品ほど展示する予定です。こちらも是非、ご覧下さい。
絵本の中で本当にジェイクとうみんこは楽しそうに遊んでいます。とても短い時間出会いでも、とても良い友達になれたようですね。作家の幼少時代も近所の友達や兄弟たちと毎日よく遊んだようです。「彼らのおかげで豊かな少年時代を過ごせたなあ… 絵を描いたり、工作をしたり、探検ごっこをしたり…子どもには必ず遊び相手が必要です。人によっては大人になっても。」(作家談)

誰にでも、友達との思い出はありますね。思い出すとつい笑ってしまうような… 顔をしかめてしまう思い出なんかもあります。

『きっかけは何人であれ、誰かと出会ったら、誠実につきあう。心をこめて接する。なんの利害もなく    それが‘ともだち’です。』
「くんくんきみだあれ展」に向けて作家からのメッセージです。

■北鎌倉葉祥明美術館企画展 2006年7月29日 (土) ~ 9月22日 (金)
絵本原画「くんくんきみだあれ」展



葉祥明美術館
学芸員 長井