葉祥明美術館

オススメVol.79「赤毛のアン」

葉祥明が描く世界は、地平線の奥に家や木などぽつんと描かれ、大地と空は大きく広がっています。そのため「空気を描く画家」と評される事も。吸い込まれるような世界観は、どこの風景か?そんな質問を頂戴しますが、多くの作品には明確な答えはなく「心象風景です」とお答えします。葉祥明自身、特定の場所を思い浮かべず描いており、観る人それぞれが感じ取り、気持ちが安らぐ作品でありたいと願っています。

ただ、そんな中にもやはりお気に入りの場所はあります。一つは故郷・熊本の阿蘇、軽井沢の緑豊かな地、北海道・富良野の草原、そしてプリンスエドワード島もその一つです。実際に葉祥明はプリンスエドワード島に訪れ、その景色に身を置いたとき『どこもかしこも葉祥明の世界。一番驚いたのは、本人の僕です。ほんとうにこんな風景があるんだ!なるほどね、僕は何十年、知らずにこの島を描き続けていたのです。』(画集「Prince Edward Island」より)と言っています。今でも春夏秋冬、全ての季節の景色を見たいとも思っているそうです。

「赤毛のアン」の舞台となった場所で有名なプリンスエドワード島、物語の中で人と自然との調和がうまく描かれています。葉祥明の作品も、素晴らしい自然の中に暖かく溶け込む人の生活が描かれ「赤毛のアン」の情景が葉祥明の世界とうまく融合しています。物語の主人公アンは想像力豊かな努力家です。葉祥明もまた、勉強熱心な努力家で作品を描く際には様々な資料を読みます。そしてそこから得た事柄から想像力を膨らませ絵筆を置いていきます。「あふれる想像力」はアンと葉の共通点ですね。

葉祥明の描く「赤毛のアン」の世界をご覧頂き、プリンスエドワード島の優しい風を想像してください。その場所にいるような…心地よい空気をお届けできれば幸いです。

北鎌倉葉祥明美術館企画展 2017年3/11 (土) ~ 5/19 (金)
葉祥明の世界の名作絵本シリーズ
「赤毛のアン~ Anne of Green Gables~」絵本原画展



 


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