葉祥明美術館

学芸員のおすすめコラム【Call My Name】

  
絵本『Call My Name 大丈夫、そばにいるよ』は2009年に発刊されました。当時、2011年に迎える法然上人の800年大遠忌を迎えるにあたり、事業の一環として浄土宗の監修のもと、仏教の経典を元に制作された絵本です。「阿弥陀経」から『Call my name ~大丈夫、そばにいるよ~』、2010年「無量寿経」から『For Your Everything ~ありのままで~』、そして2011年「観無量寿経」から『Imagine and Voice ~あなたとともに~』 (いずれも角川学芸出版刊)と大遠忌に向けて三作 出版されました。
 
 開催中の企画展では一作目の『Call My Name』を紹介しています。この絵本の元になっている「阿弥陀経」を2009年出版絵本のあとがきで解説しています。“極楽の仏である阿弥陀仏が「我が名(ナムアミダブツ=念仏)を呼ぶものは必ず極楽浄土へ救い導く」とすべての人に呼びかけている、そうした内容です。阿弥陀仏とは「限りない命を持つ仏、無量の光であまねく照らし出してくれる仏」の意、そして極楽とは「阿弥陀仏が建立した、あらゆる苦しみや哀しみから解き放たれた世界」です。※あとがきより“
 この経典を葉祥明の世界感で見事に表現しています。「極楽」を「美しい世界」と表し、水彩で描かれた絵は心が洗われるような、清らかな空気感をまとった作品となりました。経典に馴染みのない人でも分かりやすく、読み度に安らぎと希望を感じます。
 
 本書は2009年の初版刊行からしばらく、品切れとなっていました。多くの方のご要望により2019年に再版され、現在は「みらいパブリッシング」刊行にて手に取ることが出来ます。再版の際に新たに書かれた浄土宗からの後書きは冒頭こんな言葉で始まります。“多くの人が日常のさまざまな場面でストレスを感じ、抱え、閉塞感や孤立感にさいなまれていると言われる現代。そうした方の心に、少しでもやすらぎや希望を届ける事が出来たら—。私たちのそんな思いを、葉先生がかなえてくださいました。”
 
 この後書きが書かれたのは、コロナウィルス感染症が広がる前の事です。しかしまさに今、ウィルスへの不安や長引く自粛にストレスを感じ、閉塞感や孤立感に苛まれていることでしょう。そんな時だからこそ、本展が安らぎと、アフターコロナへの希望に向かう力を補給する一助となれば幸いです。
 
 
追記:二作目と三作目の『For Your Everything ~ありのままで~』と『Imagine and Voice ~あなたとともに~』は残念ながら「品切れ」の状況です。皆様の声が集まり、再版出来る事を願っています。
 
■北鎌倉 葉祥明美術館 企画展 2021年10月2日〜12月3日
絵本原画展『Call My Name』