葉祥明美術館

おすすめVol.119


 
 葉祥明作品を整理し、管理データを作成しています。作家の持参する、新しく描かれた作品を登録するのと並行して、過去の作品の調査を進めています。現存作家で、本人がいるのだから調査も簡単であろうと思われるかもしれませんが…じつは容易ではありません。作家本人はデビュー当時や多くの作品を製作していた1980年代などは、締め切りに追われ描く事で精一杯。何時、何のために描いたのか記憶が曖昧な事が多いのです。そしてその作品が形になり出版された絵本や雑誌など…おそらく出版社等から届いたであろう掲載誌も揃ってはおらず、中には作品自体も所在不明なものもあります。
 
手元にない出版物が、ネットオークションなどで出品されれば購入する事も。地道な調査を進めて、現在の登録出版物は665冊、作品は8700点以上になりました。ボリュームのある数字になってきたと思いつつも、不明な物も多く未だ未だとも思います。
 
 その作品の多くを締めているのが絵本原画です。画業50年が経ち、様々なテーマの絵本を描いてきた葉祥明ですが、常に「愛」が製作の根底にあります。
開催中の企画展は「愛」を根底に、心に寄り添う身近なテーマを描いた作品を、数多ある葉祥明の著作から厳選し、紹介しています。
 
生まれたその時から愛されていることを伝え、成長と共に感じる好奇心を満たし、その子自身の個性を肯定する絵本。やがて周囲との協調を学び、…又、自分自身を容認する絵本。その先には大いなる愛を伝えるお話の絵本まで…いつでも、読者に寄りそう作品の数々をお届けします。
今回の展示でご紹介できる絵本はわずかですが、その魅力をご覧頂ければ幸いです。
 
 
 
 
■北鎌倉 葉祥明美術館 企画展 2023年10月7日〜12月8日
心に寄りそう身近な絵本展 By 葉祥明