葉祥明美術館

おすすめVol.109【紡いできた言葉から】

 
絵本作家として活躍する葉祥明。1973年に『ぼくのべんちにしろいとり』を出版してから、来年2023年に画業50周年を迎えます。五十年の中で、絵本制作だけでなく、油彩画を描き、言葉を綴り、幅広く活動しています。気さくで穏やかな人柄に加え、知識の深さや独自の考察が人を惹きつけ、講演会等も行ってきました。講演会の最後にはいつも次作の言葉を朗読し、訪れた方の癒しの時間となっています。葉祥明は日頃からクロッキー帳に感じた言葉を書いています。1980年代後半から始めたこの作業は今も続き、本を出版する時に使用されたり、朗読されます。明確なテーマがある書籍を出版するときには新たに描き下ろし、今まで綴った言葉は膨大な量となっています。葉祥明は近年、自分が書くものを「詩」ではなく「言葉」といいます。葉祥明の中では「詩」は文学的なもの。自分自身の言葉と、感覚による日々の心の動きを記録。個人的な思い」対して「言葉」は「ある問題についての応答のようなものが、自分の外からやってくる。普遍的な真理」と。若い頃は詩を書いていましたが、今は言葉を多く書くようになりました。
 
 絵本作品や絵本ではなく「言葉」で伝えたい事。それは世界がどんなものか、その中の人間存在の在り方、人生の意味や意識や目的について、平和や幸せについて、伝えたいと考えています。
 
 開催中の企画展では「日々を穏やかに」過ごすためのヒントになる言葉をいくつかの書籍から集めました。『心に響く声』(愛育社刊)、『ホワイトウルフの教え』(ハート出版刊)、『幸せに生きる100の智恵』『こだわらない』『幸せは日々のなかに』〈日本標準刊〉。どの作品も日常の幸せに気づき、感じる事の大切さ伝えています。長引く感染症対策は、当たり前の日常の尊さを私たちに再認識するきっかけにもなりました。これから日常を取り戻していくなかで、大切な心の持ち方を、本展の葉祥明の言葉から見出して頂けたら幸いです。
 
 
■北鎌倉 葉祥明美術館 企画展 2022年2月5日〜3月25日
『葉祥明画業50周年に向けて— 紡いできた言葉から —この日々を穏やかに…』