葉祥明美術館

おすすめVol.110【しあわせの小径】

ひとりの作家の個人美術館として、北鎌倉に開館した葉祥明美術館。1991年開館から30年が経ち、葉祥明作品ファンの憩いの場として親しまれています。昨年の開館30周年記念イベントを開催計画中に感染症が蔓延し、イベント開催を断念して静かに30年を迎えておりました。そのような中でも、たくさんの方が北鎌倉 葉祥明美術館に心を寄せて下さいました。この度 出版された『しあわせの小径』も出版社の編集担当者が、当館を訪れた際の感動を一冊の本に!という想いから始まり、初めて当館を舞台にした書籍がつくられました。
 
 北鎌倉 葉祥明美術館は、JR横須賀線・北鎌倉駅から7分ほど歩いた場所、住宅の中にひっそりと佇んでいます。JR横須賀線の電車を降り北鎌倉駅を出ると、目の前は円覚寺の門前となり緑豊かで心地良い空気が流れます。春には桜、夏は生い茂る緑の木々に、秋は紅葉と四季折々の景色を感じながら ゆっくりと歩みを進めると、 “明月院通り”という小川が流れる道にぶつかります。小川のせせらぎをききながら、崖と樹木に囲われた美術館までの小径を進む中で少しずつ心が穏やかに、大らかな気持ちになるのは自然の力でしょうか。ほどなくして「北鎌倉 葉祥明美術館」があります。小さな橋で小川を渡り、お庭を抜けた先に建つ洋館が美術館。洋風の外灯に煉瓦をはめた外壁はお洒落で、訪れた人を温かく迎えてくれます。
 この美術館に到着するまでの過程を本の前半で、葉祥明がイメージした言葉と途中の景色を交えながら描いています。後半は美術館に入館し感じる葉祥明の世界を、代表的な風景画をはじめ、心に響く言葉で魅力を伝えています。
 
 美術館を舞台にしていますが、観光案内のガイドブックとは違く、詩画集のようではあるけれど、そこには美術館に誘う要素もある。なんとも絶妙に葉祥明自身と美術館、自然と真理を伝える今までにない葉祥明の書籍となっています。開催中の企画展示では本書の為に描きおろした作品も含め、その魅力を伝えています。是非、お楽しみください。
 
■北鎌倉 葉祥明美術館 企画展 2022年3月26日〜5月27日
『葉祥明画業50周年に向けて— 新刊原画展 — しあわせの小径』